2003年5月7日
TOMATITOコンサート終了報告
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始めて私たちの出演しないコンサートを 主催致しました。
セビージャ・ビエナル以上の素晴らしい演奏に、 ご来場の皆様も心から感動して下さいました。
改めて私も虜になってしまいました。
来年も来てもらうよう交渉中です。
是非御期待下さい。
小松原庸子 |
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ステージ
トマティート 理屈を超えた「気」に感電 |
朝日新聞 2003年4月28日 夕刊
「気」というのは不思議なもので、その存在を証明することができないかもしれないが、フラメンコ・ギタリストのトマティートが新国立劇場中劇場(東京・西新宿、13日)のステージに出てきたとたんに空気が明らかに変わった。
ウェーブのかかった長い髪、黒のズボンに濃い青のシャツというシンプルな格好の彼が静かに座り、前奏のような感じでギターの弦に軽く触っただけでまた電気が走った。名人の演奏に出くわした時に味わう特別なスリルだ。
テクニックとは必ずしも関係のない感動だ。彼は稀に見るテクニックの持ち主でもあるが、理屈を超えたこういうパワーは漠然と「ソウル」としかいえないだろう。
コンサートの前半はギター2人とヴァイオリンの編成でアルゼンチンタンゴの革命児アストル・ピアソラの音楽を特集したプログラムだった。
ジャズやクラシックの要素がふんだんにあるこの音楽にフラメンコの解釈を加えると実に意外な音世界が出来上がる。去年の秋セビリアで行われた初演が喝采を浴びたこのプログラムは、先入観抜きに聴くと極めて新鮮だ。
片方のギターを担当したクラシック界のカルラス・トレパも素晴らしいテクニックだが、左膝に右足を乗せたさり気ない姿勢でほとんど動かず、難しい構成の曲をいとも簡単そうに弾くトマティートには圧倒された。
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後半は基本的に6人組で展開される内容で、伴奏はパルマスと呼ばれるフラメンコの独特の手拍子、パーカッション、ヴァイオリン、そして電気ベース。パルマスの2人はそれぞれ歌と踊りを担当する曲もあり、特に歌のポティトはかなりの力量。
多岐にわたった演奏にはフラメンコの伝統的な部分と相当モダンな部分が共存し、トマティートの表現者としての揺るぎない自信を強く感じさせた。
ピーター・バラカン/ブロードキャスター |
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写真/大森有起
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