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フラメンコはスペイン南部アンダルシアに発生した民族音楽舞踊です。
アンダルシア地方は15世紀にイサベル女王によってスペインが統一されるまで800年間アラブに占領されていました。その後インドを追われた流浪の民ヒターノ (ジプシー)が定住し、彼らの音楽とアラブ系の音楽、そしてスペイン固有の音楽等が一緒になって出来上がったのが今のフラメンコの始まりと言われています。
ですからフラメンコは西洋の中にありながら、非常に東洋的色彩を持った独特な音楽です。
放浪民族のヒターノにとって歌と踊りは彼等の生活と密接に結びつき今日まで引き継がれています。彼等の日々の嘆きや夢、はかない希望を歌に託して感情のはけ口としたのです。その想いがフラメンコに他の民族音楽舞踊には見られない奥深さを与える事になりました。
フラメンコはカンテ (歌)を起源としています。その後、踊りが始まり、ギターが生まれたのです。そして踊りと歌とギター3つが一緒になって、今のフラメンコの形が出来上がりました。昨年には、ユネスコの世界無形文化遺産に登録され、世界中の人々に愛される芸術として、今も進歩を続けています。カスタネット、ピト (指の鳴らす音)、サパテアード (足音)、パルマ (手拍子)などの技巧を駆使して、舞台が最高潮に達すると、観客から"オーレ" "アルサ"(元はアラブの神への祈り)と掛け声がかかり、踊り手もギタリストも一層盛り上がっていきます。そして観客と演奏者が一体となって独特な雰囲気がつくり出されていく、昔から伝わるフラメンコのスタイルは、今も変わらぬ醍醐味の一つです。
<スペインには各地方に様々な民族舞踊があります。>
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バスク地方 |
バスコンガダ |
ナバラ地方 |
ホタ |
ガリシア地方 |
ガジェゴ |
アラゴン地方 |
ホタ |
カタルニア地方 |
サルダナ |
カスティリャ地方 |
カスティリャナ |
バレンシア地方 |
バレンシアナ |
アンダルシア地方 |
フラメンコ |
カナリア地方 |
カナリア |
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■フラメンコの道具について
- ソンブレロ・デ・アラ・アンチャ - Sombrero de ala ancha - (帽子)
別名、ソンブレロ・コルドベスともいわれ乗馬の時にかぶる帽子です。女性舞踊手が帽子を使って踊る時はアンダルサ(アンダルシアの女)の "粋" を表します。
- カスタネット - Palillos -
以前は、現代使われているものより大きく貝殻を2つ合わせたような形で、パンパンと打ちつけるだけでした。踊りやギターの進歩と共に難しいテクニックを駆使するようになり、素材への色々な試行錯誤が繰り返され、音も良く、壊れない布を樹脂加工したものが使われるようになりました。
- サパト(靴) - Zapatos -
サパートス(女性用)、ボタス(男性用)、ボトス(ブーツ)などいろいろな種類があり、それぞれの踊りによって、靴をはきわけ、サパテアード(足踏み)の変化をつけます。
- マントン(ショール) - Mantón -
マントン・デ・マニラと言われ、スペインの黄金時代に、フィリピンがスペイン領だった頃、中国からの影響を受けて出来たものです。 当時、多くの女性がその美しさを競って肩にかけ町を歩いたものでした。フラメンコにおいて、マントンを美しく使うことは、女らしさの象徴であり、バタ・デ・コーラ(すその長い衣裳)と同様、上手に使いこなすテクニックが重視されます。
- アバニコ - Abanico - (扇)
日本舞踊と同様、スペイン舞踊には大切な小道具の1つで、やはり東洋から渡ったものです。クラシコエスパニョールでは、女性の優雅さを、フラメンコではアンダルシアの粋を表す小道具で特にカラコレス、グァヒラ等の曲に使われます。
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