大地と炎 - TIERRA Y FUEGO -
フラメンコは伝統から出発し21世紀に更に発展する現代の感性の舞台芸術であると認識し、今私たちの直面している問題として取り上げ、新たに「大地と炎」を上演。
スペイン、フラメンコ・モダンの第一人者ホアン・カルロス・レリダの振り付け、スペインからは経験豊富な実力者クリージョ・デ・ボルムホスを配し、小松原庸子スペイン舞踊団のトップダンサー達との競演。
今正に起こっている世界情勢不安の象徴、混乱の中から一筋の光(希望)を示唆する作品として、「衣裳、照明の美しい表現により明解な趣旨、的確に物語っている」との評価を得る。
■作品内容■
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幕が上がると真っ暗な舞台にかすかな炎殺伐とした砂漠にうごめく物たち。心臓の鼓動に似た打楽器の音。砂漠の風は舞い上がり、物たちの打ち鳴らす足音は次第に高潮していく。 |
降り始める雨が光る。美しい音楽と共に雨が踊りながら大地にうるおいを与えていく。雨と物たちの舞が展開されていく。激しい雨が止む。地の底から生命の象徴、緑の女神が生まれる |
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3.生命 VIDA
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命が大きく旋回する。それは大地から芽吹いた緑の女神。女神は彼に生命を与えペルソナ(人間)と名付けた。女神と人間の官能的な踊りには、甘美な音楽を伴いいっそう美しさを増して行く。女神は人間を鏡の前に立たせ、自分の姿を見せる。彼からは何も生まれない。腹を立て人間は鏡を壊した。すると奇跡が起こり鏡の像から人間の分身が現れる。 |
4.炎 FUEGO
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やがて男たちは、美しい女神を自分のものだけにしようと争う。もみ合いの中で、彼女の内に秘められた赤い布を引き抜いてしまう。それは、火であり、女神の血である。怒りに燃えた彼女は炎の一団を招き、すさまじい戦いが始まる。男たちは争いを止めない。舞台は炎につつまれて行く。彼女は戦いを見つめ、怒りと絶望の舞 - - 。ついに、人々は倒れ、男二人も、相手を殺してしまう。やがて炎は消え、ただ一つ残った真っ赤な火もまるで残り火のように少しずつ消え、たった一条の希望をつなぐ光が女神を照らす。
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写真/瀬戸秀美
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