遙かなるコルドバ - CORDOBA LEJANA
1961年初めてコルドバを訪れ、フリオ・ロメロ・デ・トレスの絵画に接して以来、長い間の想いを経て「コルドバの詩」と題し、1992年アンダルシア州の主催セヴィリャ万博記念として画家の生地コルドバにおいて上演。
フラメンコに傾倒し、カンテ・ホンド(深い歌)を深く愛した画家フリオの名画の数々カルセレラ(囚人)、アレグリアス(喜び)、コルドバの闘牛士等フラメンコへの愛の結晶である一連の作品を中心に彼の魂を深く捕らえて離さなかった人々の悲痛な叫びや喜び、ロメロ・デ・トレスが描き出す神秘と幻想の世界。フラメンコの神秘的な高まりとして表現したその奥に近づく舞台。
フリオ・ロメロ・デ・トレスの絵画を通し、真のフラメンコの魂の叫びを伝えた。
■作品内容■
1.コプラ(詩)に捧げる LA CONSAGRACION A LA COPLA
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1912年の作品。アンダルシアの題材を詩的に高揚し、描くもの全てを底から見る。
彼という人間を育んだ最も深く自らの表現を見出した場所が映し出されてている作品。 |
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画家は何らかの形で過去が、コルドバの人々の心理に与えている影響を強調しようとした。そしてアラブの古都として栄えたコルドバには、遥かなるローマ、ユダヤの文化が息ついている。 |
3.画家の愛した女達 LAS MUJERES A QUIENES AMO EL PINTOR
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画家のテーマはいよいよ民衆に深く関わってくる。絵画と芸術とについて、彼が築き上げた概念が要約されている。それは彼の人生と芸術の総括と言っていい。 |
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LA CHIQUITA PICONERA |
LA COPLA |
MALAGUENA |
4.囚人 CARCELERA
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「コルドバで私は長い間、フラメンコに明け暮れていたが、結局私の情熱は絵筆に戻っていった。それでも毛頭フラメンコを忘れたわけではない。」画家のこういう感情は一連の作品となって残った。カルセレラもその1作品。 |
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明解でいくらか生真面目で堂々とした色合いを帯びる。この作品でフリオが扱ったのは、ただのジプシー騒ぎではなく、むしろ全く逆のものだ。作品に息づいているのは、深い神秘性であり、この楽しい、又は哀しい祭典の本当の古典的な背景だ。
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1930年、最後の時期の作品。すでにフリオは病んでいた。アンダルシアの民衆の詩が、この「カンテ・ホンド」に収められている。この「カンテ・ホンド」の中にある民衆の詩は、ジプシーのそれでも、フラメンコのそれでもなく、アンダルシアのもの、様々な地中海文明の名残がアラビアの音楽に染められて出来たもの。フリオ・ロメロ・デ・トレスは偉大な象徴主義の画家であった。 |
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写真/大森有起
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